

ある開発者が新しいタスクを受け取りました。コードを書く前に、リポジトリの作成、CI/CDパイプラインの設定、クラウド権限の申請、監視アラートの設定を済ませなければなりません。 多くの企業では、メールのやり取りやチケットの承認待ち、運用チームへの問い合わせなどが発生し、これらのステップだけで3〜5日かかってしまいます。しかし、Internal Developer Platform(IDP)が適切に設計されていれば、セルフサービスポータルからこの全プロセスを30分未満で完了できます。
これは未来の話ではありません。DORA 2025のレポートによると、90%の組織がすでにIDPを導入しています [2]。
Platform Engineeringとは何か?
Platform Engineeringは、開発者がインフラ、CI/CDパイプライン、環境を運用チームに依存せず自己管理できるセルフサービス層Internal Developer Platform(IDP)を構築・運用する専門分野です。目標は、開発者の認知負荷を削減し、デリバリー速度を向上させ、組織全体のプロセスを標準化することです。
SpotifyのBackstage.ioは最も普及しているIDPで、2026年時点で3,400社以上が導入し、IDP市場で89%のシェアを占めています[3]。
IDPなし vs. IDPあり:具体的な差異

DORA 2025の重要な発見:IDPとAIの関係
DORA 2025のレポートは注目すべき相関関係を発見しました [2]:
「プラットフォームの品質が高い場合、AIの導入は組織のパフォーマンスに強くポジティブな影響を与える。逆に、品質が低い場合、AI導入の影響はほぼ無意味になる。」
→ AIツールに投資 する前に、開発者基盤が整っているかを確認することが重要です。良い基盤があって初めてAIが価値を発揮します。
TTVの実際の取り組み
TTVはPlatform Engineeringの原則を社内プロジェクトに適用してきました:
- SharePoint Onlineを内部ポータルとして活用: 各チームがゼロからサイトを構築する代わりに、標準テンプレート(ブランディング・権限・ナビゲーション)を用意し、新チームが1日で動作するポータルを完成。
- 自動化ワークフローライブラリ: PowerShellスクリプトおよびPower Automateフローを再利用可能なテンプレートにパッケージ化し、新規プロジェクトのセットアップ時間を短縮。
- 翻訳ツール基盤: 環境構築を完全自動化し、新規メンバーはリポジトリをクローンして1コマンドで完全な開発環境を構築。
これらのステップは複雑なプラットフォーム投資 を必要としません—「標準化して再利用」という思考があれば十分です。それがあらゆる視点からのPlatform Engineeringの出発点です。
まとめ
Platform Engineeringは、単なる「新しいツールの追加」ではなく、組織が開発者をサポートする方法そのものを変革する取り組みです。Gartnerは、2026年末までに大規模ソフトウェア開発組織の80%がプラットフォームチームを持つと予測しています[1]。そしてDORAの調査も、高品質なプラットフォームこそがAIの真の価値を引き出す基盤であることを示しています[2]。
問うべきは「導入すべきか否か」ではなく、「どこから始めるか」です。
参考文献
[1] Gartner, “Platform Engineering,” https://www.gartner.com/en/infrastructure-and-it-operations-leaders/topics/platform-engineering
[2] DORA, “Capabilities: Platform Engineering,” https://dora.dev/capabilities/platform-engineering
[3] Backstage.io, “Backstage Wrapped 2025,” https://backstage.io/blog/2025/12/30/backstage-wrapped-2025