Drupal 7サポート終了

残された選択肢と、待つほど高くなる移行コスト

サポート終了が発表されても、多くのサイトは止まりませんでした。2024年9月時点で、Drupal 7はなお291,386サイト、全Drupalサイトの約40%を占めていたのです。

そして2025年1月5日、その公式サポートが終了しました。動いているのに、修理部品はもう出荷されない – 今その状態にあるサイトが、世界に何十万と残っています。

本記事では、Drupal 7を抱える企業の選択肢を、コストとリスクの両面から整理します。

サポート終了で、何が変わったのか

「終了」と聞くとサイト停止を想像されるかもしれませんが、止まりません。だからこそ厄介です。

変わったのは1点。新しい脆弱性が見つかっても、公式の修正パッチが出なくなったことです。

しかもWebの世界では、脆弱性の内容が公表されます。つまり放置されたDrupal 7サイトは、「どこに穴があるか公開済みで、塞がれないことも確定した建物」になります。

攻撃側にとっては、公表情報を見て未対応サイトを探すだけになります。

医療・金融・行政などでは、HIPAA・PCI-DSS・FedRAMPといった各種コンプライアンス要件との整合も問題になります。

 選択肢は3つ

「すぐ作り直してください」とは申し上げません。会社の状況で正解は変わります。

① Drupal 11へ移行する — 向いているのは、ページ数が多い/多言語/会員機能や複雑な権限があり、今後も機能追加を続けるサイトです。

ただしDrupal 7→11は バージョンアップではなく再構築 です。2015年前後にコアが別物になったためです。一方で、記事・画像などのコンテンツはMigrate APIで自動移行できます。「デザインと機能は作り直し、中身は引き継ぐ」形です。

② 別CMSへ乗り換える — ページ数が数十程度、更新頻度が低く、特殊機能をほとんど使っていないサイト向けです。

Drupalの強みは複雑な情報構造の管理です。それを使っていないなら、軽量なCMSの方が運用コストは下がります。

「Drupalを使い続けること」自体は目的ではありません。

③ 期限つきで据え置く — 予算・時期が合わない場合の暫定策です。WAF導入、管理画面のアクセス制限、定期的な脆弱性スキャンで被害を受けにくくします。

ただし必ず期限を切ってください。期限のない「暫定」は、そのまま3年経ちます。

注意すべきリスク

移行判断でよくある落とし穴です。

– 「まだ動いているから」は最も高くつく判断になり得ます。対応できる技術者は新バージョンへ移っており、待つほど移行単価は上がります。来年やる、の判断が来年の見積もりを押し上げます。

-見積もりが会社ごとに数倍ばらつくのは、現状を調べずに概算を出しているためです。費用の大半を占めるのは「独自に作り込んだ部分」で、そこを見ない見積もりは着手後に必ず増えます。

– 「据え置き+延命」を恒久策と誤解しないこと。有償の延長サポートは時間を買う手段であって、脆弱性そのものが消えるわけではありません。

日本市場の動向

Drupal 7からの移行は、いま世界中で同時に起きています。

– 2024年9月時点で、Drupal 7は約29万サイト(全Drupalの約40%)が残存していました

– 予算・人員・独自機能の複雑さから、EOL後も移行できていない組織が世界中に多数あります

– 一方でDrupalは高トラフィック上位サイトの8.5%を占め続けており、規模の大きい組織ほど「別CMSへ逃げる」より「Drupal最新版へ移る」判断が現実的です

 出典:webtechsurvey、themeisle CMS Market Share 2025

 TTVの実際のDrupal移行支援

当社はDrupalを専任チームで担当し、最新のDrupal 11までのバージョンアップに対応しています。これまでECサイト、コーポレートサイト、ヘルスケア、ホスピタリティ管理システムなど、10サイト以上の構築・保守運用を手がけてきました。

「技術的な移行」で終わらせない

当社が移行案件で最も重視しているのは、移行を機にアーキテクチャを最適化することです。手順は次の通りです。

① モジュール単位で移行可能性を評価 — 有効な全Contribモジュールについて、新バージョン対応版の有無、代替モジュールの有無、自前実装の要否を1つずつ判定します。

② 再開発が必要な機能を洗い出し、お客様と協議 — 「そのまま移すべき機能」と「この機会に作り直すべき機能」を切り分けてご提案します。長年の運用で不要になった機能を、そのまま新環境へ運ぶのは工数の無駄だからです。

③ 最適化した構成で新バージョンへ — 単なる技術的移行ではなく、次の5年を見据えた構成にしてからDrupal 11へ移行します。

この進め方により、移行後の保守性と拡張性が変わります。「移せたが、前と同じ使いにくさが残った」を避けられます。

現状診断で棚卸しする4点

– 実際に使われているコンテンツタイプ/フィールド — 未使用の定義を移行するのは工数の無駄です

– 有効なContribモジュールのD10/D11対応状況 — 非対応なら代替探索か自前実装が必要です

– カスタムコードの規模 — ここが移行工数の大半を占めます

– 外部システム連携 — 基幹・MA・決済などの再設計要否を判断します

また当社のDrupal専門エンジニアは、実務で必要になった機能を20のContribモジュール**としてコミュニティに公開しています([Profile]。

移行時に「対応版が無いモジュール」に直面しても、自前で作れる体制があります。

 まとめ

テーマは「先送りのコスト」です。

– Drupal 7の公式サポートは2025年1月5日に終了済み。約40%のサイトが未対応のまま残っていました

– 選択肢はA:D11移行 / B:別CMS / C:期限つき据え置きの3つ

– 待つほど費用は上がります(対応可能な技術者が減るため)

– まずは現状診断から。棚卸しの4項目だけでも見積もり精度が変わります

– 当社はDrupal 11まで対応**し、モジュール単位で移行可否を評価した上でアーキテクチャ最適化まで含めてご提案します

「うちはどれに当てはまるのか」だけでも構いません。現状診断のみのご依頼も承っており、移行しない方がよいという結論であれば正直にそうお伝えします。

Drupal 7からの移行をご検討の方は、お気軽にお問い合わせください。

出典

– Drupal 7 サポート終了アナウンス

– Drupal 使用統計

– 2025 CMS Market Share(themeisle)

– Drupal.org ユーザープロフィール

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